88flavors 2nd album 「PLEASURE!!!」

Produced & Arranged by mayuko

  1. ラビュ
  2. 東京へ
  3. めぐり、めぐって。《2024ver.》
  4. サンクチュアリ
  5. Goodbye My Sweetie
  6. 境界線
  7. 風の向きが変わった時
  8. あおぞら
  9. 紫色につつまれて

2024.6.23. release
各配信サービスよりサブスクリプション&ダウンロード
オフィシャルオンラインショップにてCD販売 3,300円

ライター山本祥子さんによる全曲レビュー

1. ラビュ
旅立った愛犬を歌にするのは簡単なことじゃないけれど、制作の傍には盟友・カユがいて、Gassy(BOOOST)が楽器+共同アレンジ、さらにドラマー・Hyu-gaの名も。信頼する仲間とパンクロックを掻き鳴らし、涙は全力で振りきって、世界中をLoveで満たします。ただこの曲がオープニングだなんて、遠くない未来、バンド編成のライヴを期待してしまいますよ。

2. 東京へ
東京暮らしが長くなり、何もかもが古びて見えた故郷の良さもわかっているからこその上京ソング。言い換えるなら、東京に手招きされて全国から行進して来る若者たちに贈る、何でも挑戦してみればいいじゃん!というエールだ。この曲に漂う少しレトロなポップ感は、10代のmayukoがウォークマンで聴いてた音楽と繋がっているのかな、なんて想像してる。

3. めぐりめぐって
この曲を聴くと、アコーディオンの音色って車窓の景色に合うよなぁと思う。そして『47都道府県を再びめぐる旅』のテーマソングと言いつつ、シンガロングで大盛り上がりとかではなく、自身のライヴへの想いを綴ることで、目の前のあなたの手を取り、心を繋ぎ、「またね」って次に会う約束の歌になっているのが、実に88flavorsらしい。

4. サンクチュアリ
イチオシの存在に対して心からの応援と無償の愛を注ぎ、それを何よりの喜び&活力とする尊き行為、推し活へのmayukoの憧れが大爆発(ややこしい・笑)。まさか軽快なレゲエのリズムに乗って〈Wow Wow Yeah Yeah!!!〉なんて歌う姿が見られる日が来るとは?! なハッピーソング。とは言え、自身も推し活される対象だということをわかってるのかしら?

5. Goodbye My Sweetie
大人になるって、大切な人、愛しい存在との別れを重ねることな気がする。なのに全然慣れないし、いつも寂しい。しかしこの曲では、というか今のmayukoは、心に空いた穴を可愛いに昇華させ、エバーグリーンなポップスにして響かせる。 想いを汲み取ったHuge Mのアレンジも秀逸。ただまさかタイトルのまんまクッキー缶の曲だったとは!?

6. 境界線
強めのタッチでドラマチックなフレーズを響かせる鍵盤に、待ってましたーと膝を叩きつつ、曲が進むごとにエナジーが迸りまくるヴォーカルに目を白黒させつつ、OKP-STARのうなるベースが腰を直撃! とにかくこの曲を構成するすべてにスタンディングオベーション!! 愛憎の境界線を軽々飛び越え、88flavors史上最強のロックナンバーが完成した。

7. 風の向きが変わった時
日浦駿介の歌詞、託された「自分が主役の人生に責任を持つ」という覚悟。誰もが知ってるけど、忘れちゃいけない大事なことだから、誰にも真似できない自分だけの音楽にして届ける! 打ち込みなのに耳触りはフォーキーで、淡々と力強く、洗練と遊び心がせめぎ合うコーラスを含めて最後の1音まで聴きどころ。この曲にはアーティスト88flavorsの気概を感じる。

8. あおぞら
過去の悔しい思い出も、相変わらずダメな自分も、受け入れて認めてちょっとだけ愛してあげる。多分mayukoの現在が一番投影された、明日への希望の歌。〈自転車〉〈虹の橋〉というフレーズに、まぁタイトル「あおぞら」もだけど、思わずピクリ。Aqua Timezの曲にもよく自転車が登場しましたよね。OKP-STARと共同アレンジ?! なんて深読みするのも楽しい。

9. 紫色につつまれて
今作の飛躍的な進化は歌が楽曲の中心になったことだ。もともと歌心溢れるキーボーディストですから、ピアノの弾き語りはもはやデュエットで、この曲のヴォーカルが描く〈紫の夜〉は繊細でやさしくてとびきりシアワセ。受け取る人の数だけ〈紫の夜〉は存在していい。その余白を残しつつ、88flavorsの音楽とライヴで紫色に染め上げたいと心より願っております(笑)。